現場ルポ-120514-2
京都市下京区 錺金具の森本さんのところから程近い場所にある 岡本啓助工房
ここで、水晶殿の照明器具に取り付けられる「飾り房」が製作されています。
日本最古の飾り房は、藤ノ木古墳より出土した千四百年前のものとされ、その伝統が京に伝わり、平安より受け継がれた貴族文化の中で華麗に育まれてきました。
京・飾り房は、全国各地に伝わるお祭り文化を華やかに演出し、伝統ある儀式に荘厳さを表わすなど、儀礼儀式の中で日本の美しさや技術の高さを今に伝えています。
(京飾り房師 岡本宏一さん)
「飾り房は、脇役として主を華やかに引き立てるものです」と語られる岡本さんですが、工房には目を奪われる美しい房の数々が並べられています。
今回、水晶殿では「控之間」の周囲を巡る廊下に、宝珠形のコード吊ペンダント照明が三台取り付けられますが、照明の上部には華やかな飾り房が編みこまれます。
先般、4月19日に東京で製品検査が行われましたが、その後、建築家との話し合いを受けて、房の長さや本数、編み込みの文様に修正が加えられました。(現場ルポ120419参照)
房の部分は、七宝編み目 海老結び 亀甲文様で、岡本さんが伝統の技法を用いながら水晶殿の為に独自の編みこみをして下さいました。
また、編みこみ全体の胴の部分が少し絞り込まれるような形状となり、下には瑞雲をイメージした飾りリボンが付けられました。
「紫」は、古来よりその色を出すことが難しく、多くの労力と経費を要した事からも貴人の色とされました。
一口に「紫」と言っても、その種類の多さに驚かされます。
今回、水晶殿の「飾り房」には、独自に古代紫色に染め上げられた国産の絹糸が使われました。
岡本さんの工房では、道具は全て手作りされているそうで、妥協を許さない職人としての「ものづくり」への姿勢を感じました。
造営主は、造営に携わった技術者に「人真似をするな」と語られたそうで、その言葉からは常に新しいものを生み出そうとした心が読み取れます。
伝統の技法を基に新しい文様を編み出した岡本さんの飾り房は、そうした造営主の心を受けた水晶殿に相応しいものと言えるでしょう。
平成24年5月14日撮影
(編集委員)
2012年5月16日 20:32 | カテゴリー: 編集より